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27歳が映画ボヘミアンラプソディを見た感想(前編)

2018年公開映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見てきました。その感想を踏まえて、Queenとはどういうバンドだったのか、私見ながら書いていきます。映画のネタバレを含みますのでご了承ください。なお脚注のない記憶頼りのガバガバブログなので許してください。

 

1.バンド創世〜QueenⅡ(2ndアルバムまで)

映画はフレディのアルバイト場面から始まる。移民ということをいじられながら飛行場で仕事をするフレディ。これからロックスターになる人物とは思えない汚さと、暗さである。仕事を終え家族のいる家に帰るが、帰宅早々今日の夜も出かけるとフレディは言い、父親に睨まれながらもライブハウスへと足を運ぶ。父親はフレディのことをよく思っておらず、音楽に没頭していることも気に食わないようすであった。ライブハウスでは三人組がショウを行なっていた。ショウが終わるとバックヤードでベースボーカルが「おまえらとやっても大学のギグが精一杯だな」と言い放ち、三人組から脱退する。残されたドラムのロジャーとギターのブライアンのもとに、フレディが訪れ「最高のショウだった。おれをバンドに入れてくれないか?」ロジャーは笑いながら「歯を治したほうがいいじゃないか?」とからかう。この映画ではじめて笑ったところでもあった。(ロジャーは歯学生だった時期があったので。)フレディはそこで歌を披露しバンドに参加することに決定。のちにベースのジョンも参加し、Queenは始動することとなる。

結成後にファーストアルバムを製作するために車を売るシーンがあるが、本当だったかはわからない。彼らはすでにメジャーレーベルと契約しており、そんな金策が必要だったかは定かでない。ファーストアルバム「Queen」はレーベルとゴタゴタあり発売が遅れたことで有名である。アルバムとしては暗すぎて残念ながらとても人気が出そうなアルバムではない。映画では収録タイトルKeep Yourself Aliveが使用されていた。その後セカンドアルバム「QueenⅡ」を作り、このアルバムを皮切りにQueenはスタートしていく。QueenⅡはファーストアルバムを反省したからか、比較してかなり明るくキャッチーな曲が多い。一番の反省曲は「Seven Seas of Rhye」で、おれらはこんな風に作りたかったんや!という強いリテイクの意思を感じるできである。オペラのようなクラシックを意識したThe Fairy Feller's Master-Strokeといった作品もあり、このころからフレディの嗜好が強く出た音楽作りとなっている。他のメンバーそれに近いような曲を作曲しており、アルバム全体としてかなり統一感のある仕上がりである。事実このアルバムをベストというファンも多いとかなんとか。ただこのアルバムで一番特筆すべき曲はOgre battleという曲である。30秒ぐらい風の音だけがなり(この奇特さについてはBohemian Rhapsodyの製作にも直結しているので後ほど)、その後強烈なギターリフが右往左往に駆け巡る。1974年にどうやったらこんなギターリフが作れるのか、ブライアンは音作りの天才かも知れない。筆者のQueenベストソングでもあるのでぜひ聞いてほしい。もちろん映画では流れなかった。それほどQueenの一般的なイメージとギャップのあるサウンドである。一貫性の中で、そんな多様性をもったアルバムでもある。

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2.スマッシュヒットとボヘミアンラプソディーの制作

それなりに売れ始めたQueenであったが、いわゆるこれ!という曲は出ていなかった。そんななかシングルKiller Queenが全英2位となり、TV出演をするようになる。曲演奏でTV側から口パクを要求され憤慨するフレディのシーンがある。その後ろでロジャーもやってられねぇとぼやくがジョンは「ぼくは楽でいいと思うけどね」というシーンがある。これも笑ったポイントだった。実際ジョンはライブでもコーラスで口パクするほど歌が苦手らしい。といってもアルバムではコーラスに参加してるし、やばい音痴ではないかと思う。おそらくただのシャイなのだ。スマッシュヒットしたKiller Queenを収録したSheer Heart Attack を1974年に発売。しかしこのアルバムがまたへそ曲がりである。一曲目にBrighton Rockという曲が収録されているが、これはロジャーの女性のような甲高いボーカルからはじまるのだ。Killer Queen売れたのにそのボーカルをアルバムの最初できかせないのか…と彼らの根性を少し疑う構成である。しかもこの曲半分ぐらいはブライアンのギターソロである。「Killer Queen もいいけど、おれらはこういうのも好きなんだぜ」とバンドのメッセージを感じる。それがこの映画の主体でもある「おれらはQueenなんだ」ということにもなっているのかもしれない。

ほどなくして次アルバムの制作に取り掛かる。場所は都会から離れた農場で行なれていたらしい。ピアノを弾きながら曲を作っていくフレディ、プロデューサーの男性とも話し合い、たんたんとピアノに向き合う。曲作りが落ち着きプロデューサーが席を離れフレディに近く。その瞬間キス。

 

アッー!

 

フレディがゲイなのは現在有名な話である。しかしQueenの関係者と関係を持っていたとは露しらず、劇場で思わず「おっふ…」と言ってしまった。しかし冷静に考えてください。密室のスタジオで男二人きりだとそうなりますよね?

ならねぇよ。

そしてフレディは当時付き合っていた女性に「あなたゲイよ」と宣告される。つらすぎる。なんなんだこの映画は…

気を取り直してアルバムの製作を続けるQueen。ここでタイトルでもあるBohemian Rhapsodyの収録シーンがある。フレディが指揮者のようにPAN振りしたり「次はオペラパートだ!」と非常に楽しそうなフレディが垣間見える。ここで面白いのはロジャーがオペラパートの収録にて「何回ガリレオ言わすねん」といったところである。実はこれはBohemian Rhapsodyの特殊的レコーディングを一言でなんとか表したシーンでなかったのかと思っている。Bohemian Rhapsodyはきいてわかる通り、いろんな音楽ジャンルで構成されており、しかも長い。そしてコーラスがものすごく分厚い。コーラスを分厚くするために彼らは何十トラックものコーラスを入れ込んでいるのだ。現代ならば「はぁ、べつにいいんじゃない」という話だが時は1975年、当時の技術ではたしか16ぐらいのトラックしかミックスダウンできなかったのだ。トラックとは各楽器ごとに録音した音源を示す。例えばボーカルなら「ボーカルトラック」、ギターなら「ギタートラック」と言った感じである。つまり沢山の楽器や声を録音しても、曲として混ぜることができるのは16個だけなのである。ところがどうだ、Bohemian Rhapsodyはゆうに100はあるんじゃないか?というような構成である。彼らがこれを実現したのは実に単純で型破りな方法であった。まず16トラックでミックスダウンする→これが1trackとなる→これに15trackを足しミックスダウン→また1trackとなるので15trackとなる。そうして100ものミックスダウンに成功したのである。なんともmixing engineer泣かせのことをするものである。こんな裏方の苦労もありBohemian Rhapsodyは完成した。この話は昔NHKで見たガバ記憶なので参考程度に。

A Night At the Operaを完成し、レーベルのえらい人にもっていくQueen。シングルカットの希望はもちろんBohemian Rhapsodyであった。

偉い人「だめ」

当然である。6分の曲をシングルカットするなんて当時では狂気の沙汰だ。「だれが6分の曲をラジオで流すと思うんだ?」とQueenに問いただす。当時はラジオで流れ、流行り、レコードを買う流れが主流であった。ラジオ側としては長い曲は使いづらいから敬遠されていたのだ。事実昔の曲はあまり長くないのが多い。一番良い例はビートルズで、彼らの曲はほとんど2・3分で構成されている。とにかくラジオで流されることが最優先の時代だった(らしい)。Queenとレーベルの交渉は決裂。「Queenを捨てたやつとして一生恥じるんだな!」フレディは外から偉い人のいる窓へ投石し、そのシーンはおわる。ちなみに窓は印税で直せと言っていた。ここらへんのレーベルとの実際にどうなったかゴタゴタがよくわからず、Queenwikiの英語版もみましたが英語がわけわからず諦めました。だれか詳しいこと知っていたら教えてください。

Queenはその後Bohemian Rhapsodyをかけてくれとラジオ局のDJに直談判。そのDJは曲をかけまくり、本来のよさが伝わったのか、シングルのイギリスチャートで9週間一位の偉業をなした。偉い人はきっと顔真っ赤だったと思う。しかし映画では結局タイトルナンバーであるこの曲でさえもフルで流すことはなかった。Bohemian Rhapsodyぐらいフルで流せという意見はSNSで多く見たが、彼らの当時の苦労をわかってもらうためにフルであえて流さなかったという解釈もある。

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この成功の後にQueenは空中分解していく。その光景が、映画で最もよく描写されていたと私は思っている。後編は出来次第公開。